第三訓

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「じゃあ着替えておいで 朝餉に遅れたら飯なくなっちまうからな?」 そういって着物を渡し部屋をでていった沖田さんの姿を見ながら、腕の中にある着物へと視線をずらすと、それは鼠色の着物に白い袴という男性用の着物である事がみて取れる。 着物に紛れこんでいたさらしを巻き(着物だからいるのか?)前にみた本の内容を元に着付けてみると、和服の袖や裾の感覚から七五三を思い出した。 ただ一つ分からなかったのが、藍色に染め抜いた綺麗な紐の使い方が分からなかったという事。 後で沖田さんに聞こうと袴にしまって置く事にする。 部屋から出て辺りを見回すと、既に皆朝食に出向いているのだろう。 一つ一つの部屋からの声は聞こえないものの、先から怒鳴るような声が聞こえた。 その部屋に近付いていくと、開けられた襖から昨日会った顔触れが集う部屋が見える。 それよりも集団がいる大部屋が更に奥にもあり、どちらに行けばいいのかわからず混乱していると 「美羽! こっちだこっち!!」 近藤さんが私の存在に気付き、人一人分空いたスペースを指さした。 場所的に言えば、沖田さんと怖い刀のお兄さんに挟まれる位置。 沖田さんはともかくとして、お兄さんの隣が怖くて仕方ない。 でも近藤さん笑顔で呼んでるし・・・ 土方さん恐い顔で睨んでるし・・・ 意を決して空いた椅子に座ると、それをみた近藤さんが 「では皆! この料理に関わった全ての人に感謝し、いただきます!!」 と大きな声でいう。 すると、皆が同じように手を合わせ食事が始まった。
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