22人が本棚に入れています
本棚に追加
ちゃんと待ち受け画面に鳴ってくれた携帯電話に感謝する。アンテナを見ると、圏外の二文字。うちはメニュー画面にいくと、カメラ機能を選択した。そして、カメラを土方さんに向ける。
「土方さん、いきますよっ!
はい、チーズッ!!」
「は?」という顔をしている土方さんを、パシャリ。画面の中には間抜けな土方さんの顔がある。
撮影成功だ。
「ほら、これっ!」
うちは、携帯電話をもう一度土方さんに突きつけた。
土方さんは、画面を見て驚く。
「こ、これは……」
何だ何だ、と他のひとたちも、携帯電話をのぞきこんでびっくりしている。
「すげぇなこれは……」
「ふふ、土方さんの顔、間抜けですね」
「うっせぇぞ総司ぃ!
あーもう、うぜぇ!!
散れ、てめぇら、散れっ」
しっし、と土方さんは他のひとたちを払いのけ、携帯電話をうちに渡した。
「まぁ、信じてやらんこともないな」
「ありがとうございます!」
うちは、携帯電話を受け取って、笑顔で言う。
携帯電話様々や!!
「それでお嬢ちゃん、この先はどうするんだい?」
土方さんの隣に座っている、大らかそうな男のひとが訪ねた。
「分からん、です。
もちろん行くあてもないですし……」
一気にテンションが下がった。
最初のコメントを投稿しよう!