乙女は幕末に落っこちて。

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ちゃんと待ち受け画面に鳴ってくれた携帯電話に感謝する。アンテナを見ると、圏外の二文字。うちはメニュー画面にいくと、カメラ機能を選択した。そして、カメラを土方さんに向ける。 「土方さん、いきますよっ! はい、チーズッ!!」 「は?」という顔をしている土方さんを、パシャリ。画面の中には間抜けな土方さんの顔がある。 撮影成功だ。 「ほら、これっ!」 うちは、携帯電話をもう一度土方さんに突きつけた。 土方さんは、画面を見て驚く。 「こ、これは……」 何だ何だ、と他のひとたちも、携帯電話をのぞきこんでびっくりしている。 「すげぇなこれは……」 「ふふ、土方さんの顔、間抜けですね」 「うっせぇぞ総司ぃ! あーもう、うぜぇ!! 散れ、てめぇら、散れっ」 しっし、と土方さんは他のひとたちを払いのけ、携帯電話をうちに渡した。 「まぁ、信じてやらんこともないな」 「ありがとうございます!」 うちは、携帯電話を受け取って、笑顔で言う。 携帯電話様々や!! 「それでお嬢ちゃん、この先はどうするんだい?」 土方さんの隣に座っている、大らかそうな男のひとが訪ねた。 「分からん、です。 もちろん行くあてもないですし……」 一気にテンションが下がった。
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