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「しょうがねぇな……。
じゃあ櫻木、自己紹介」
「は、はいっ!」
うちは土方さんに言われて、弾くように立ち上がった。そして、気をつけする。
「櫻木深声、17歳です!
拾っていただきありがとうございます。
誠心誠意、働きますのでよろしくお願いします!!」
そして、その姿勢のまま頭を下げた。
「ハッハッハ!!
拾ってとはな……」
近藤さんが笑う。
確かに、そのセリフはいらなかったかもしれない。反省。
「す、すいません」
うちが謝ると、近藤さんはまた笑って許してくれた。
あぁ、うち、この人好きやわ。そういう感じの意味じゃなくて、人として。
そんなほんわかした気分に浸っていると、土方さんが口を開いた。
「しっかしお前、その奇妙な着物でいる気か?」
「え?あ、あー……」
確かに、パジャマとパーカーじゃ無理がありすぎる。
「着物貸すにも男物しかねぇだろうし」
うちは、目の前のひとが着ている着物を見つめる。そして、女の子用の着物を想像した。
どう考えたって、女の子用の着物じゃ動きにくそうだ。
「いや、うち、男物の方がいいです。女物は動きにくそうですし」
「そ、そうか?」
拍子抜けしたような表情で、土方さんがもう一度確認をとった。うちは何度もうなずく。
「じゃあ平助、貸してやれ」
「おれっ!?」
平助、と呼ばれた小さめの男の子が、自分を指さして言った。
「お前しかいねぇだろうが。
背も同じぐらいだろ?」
「おれの方がでかいですよ!
……たぶん」
最後のたぶんを自信なさげに言う姿が可愛い。うちは女子の方では大きく、160センチは普通に越えている。だから本当に彼よりもでかいかも知れない。
「櫻木、平助、行け」
「はーい」
「あ、ありがとうございます」
うちはもう一度土方さんに礼を言って、先を行く平助くん(とりあえずこう呼んでおく)の背中を追いかけた。
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