22人が本棚に入れています
本棚に追加
もう、これはタイムスリップしたと認めざるを得ないですね。頭の中の結論係が、めがねを光らせて言った。
そして、続ける。
もし彼が演技をしているならば、ぼくは迷いなく主演男優賞をさしあげます。
そう、ですよね……。
脳内会議はあっけなく終わり、うちはうなだれた。
だとすれば、うちはどうすればいいのだろうか。
こんな武士がうろついている世の中で、生きていく自信なんて1ミリもない。
うちは、とりあえず事情を説明することにした。
「あ、あの、えと、」
「?……土方だ」
「う、あ、ありがとうございます。えと、土方さん」
うん、少し落ち着こう。
うちは小さく深呼吸する。
そして、訴えた。
「うち、タイム…じゃなくて、と、時渡り?してきたみたいなんです。
平成って言う、数百年もあとの世界から」
言えた。
けどやっぱり、周りの反応は冷たいもので、完全にうちは痛い子である。
うちは証拠を探してポケットをさぐった。すると、平成を代表する文明道具を発見する。そしてそれを、土方さんにつきだした。
「こ、これ!!
携帯電話って言うんです!!
ちょっと待って下さいね」
「お、おぉ」
うちは、何故か切れていた携帯電話の電源を入れ、起動させた。
最初のコメントを投稿しよう!