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ここはアルバスタ国という、小さな小さな国。
今年で建国450年を迎える、非常に伝統を重んじる国である。
貧困に喘ぐ民衆を尻目に、王宮ではほんの一握りの貴族と王族が栄華を極め豪華絢爛な生活を送っていた。
「ラス様、国王様がお呼びですわ」
「…? 分かりました」
私はこの国の14番目の王女、ラス。
今年で16歳。
お母さんである第2王妃が亡くなってから、てっきり後宮のみんなから忘れられたと思っていたんだけど…。
父様から呼ばれるようなことって?
呼んでいた本に栞を挟んで閉じ、席を立つ。
ここから父様の部屋って、やったら遠いんだよね…。
そう思いつつも黙々と歩を進め、父様の謁見室に辿り着く。
この黒檀のドア、いつ見ても重々しい…。
「国王様、第14王女、ラス様がいらっしゃいました」
「開けなさい」
ドアを守っていた騎士が声高に言うと、中から厳かな声が。
「はっ」
騎士の返事とともに開くドアの向こうで待ちかまえていた父様は、もう随分と痩せこけて……。
「すまぬが、2人きりにして欲しい。久しぶりの再会だからな」
「はっ」
父様の一言で下がる騎士たち。
これから一体何を話すと言うの?
「ラス、久しぶりだな。元気にしていたか?」
「はい、父様」
「そうか。それは良いことだ。
お前の母が亡くなってから、すっかり足が遠のいてしまってすまなかったな」
「いえ…。
この後宮のどなたも父様のご寵愛を受けたく思われていらっしゃいますから、致し方の無い事です」
「そのように言われると辛いな」
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