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「ち、ちょっと小野君、疲れてるんじゃないの?」
神谷さんの手が俺の額に、やや強めに押さえつけられる。
その手を嬉しいと思うと同時に愛おしいとも思う。
黙って顔をじっと見ると、神谷さんも何も言わなくなってしまった。
「…神谷さん?」
「っ…!」
しばしの沈黙を破った俺の声に、神谷さんはびくっと反応した。
「あの、神谷さん。返事を、聞かせてください。」
出来る限り優しい声音で言うと、伏し目だった瞳が俺を捉えた。
真剣にこちらを見つめてきたかと思うと、神谷さんが近づいてきた。
キスされる。
徐々に距離が縮まり、俺は目を閉じた。
もう唇が触れる。
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