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そう思ったとき。
「…いっで!」
ぱっと目を開けた先にいたのは、真っ赤に顔を赤らめた神谷さんではなく、冷ややかに俺を見下している神谷さんだった。
「あれ…俺、ソファにいる…?」
「はぁ?まだ寝ぼけてんの。気持ちよさそうに寝やがって。」
いくら揺すっても起きないから蹴飛ばしたと言う姿は、心なしかすっきりしているように見えた。
その代わりに俺の臑はさっきから凄く痛い。
「夢…だったのか。」
あれは一体何だったのだろう。
「ほら小野君、行くよ?」
少しだけ眉間にしわを寄せ、くるっと背を向けて歩き出す。
あれは、俺の都合の良い理想かそれとも。
分からないけれども、だけど、あれは。
俺は立ち上がって、床を蹴り出した。
「あの、神谷さんっ!」
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