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三年目
一ヶ月前になって、そろそろ考えようかな、と思った。
フラフラと街を歩いていた時に見つけた腕時計。
凄く高い訳ではないけれど、似合いそうだと思って勢いで買った。
楽屋に入る前に偶然会った小野君に突き出した。
一瞬驚いた顔をされてから、笑顔でありがとうございます、と礼を言われて、何ともいえない気分になったから楽屋に逃げた。
楽屋内で送ったメール。
『誕生日おめでとう。それは使っても使わなくても良いけど、大事にしろよな。あと、これからも頑張ってこうな。』
ゲームに熱中していると、後ろから肩を叩かれ振り返った。
満面の笑みで時計をつけた小野君が大事にしますね、と言ってきた。
妙に恥ずかしくなった僕は、思わず小野君の二の腕を殴った。
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