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四年目
年が明けた頃から何となく考え始めた。
ちょっと重いかな、とかこうゆうの好きなのかな、とか悩んで買った。
ブランド物のネックレス。
ここまで高めのプレゼントはなかなかしないけど、小野君のだったら、と思った。
今年は仕事が重ならず、自然には会えそうになかった。
だから食事に誘って、そこで渡した。
その場で開けた小野君は少しの間固まってから笑った。
「神谷さん、知ってます?ネックレスをプレゼントするのって、相手を束縛したいからなんだそうです。」
「は?」とか「ふざけんな!」とか言ってやれば良かった。
いや、言えたら良かった。
でも言葉が出なくて、僕は黙って赤くなってしまった。
それを指摘されても上手くかわせず、酔ってるだけだ、なんて苦しい言い訳しか出来なかった。
日付が変わってすぐに送ったメール。
『誕生日おめでとう。ここまで一緒にやってこれて良かったよ。これからも小野君とやれたら良いな。小野君も僕と同じように思ってる?』
送ってから恥ずかしくなった。
そのメールの返事を、小野君は食事をした帰り道にしてきた。
「俺も、同じ様に思ってます。いや、神谷さん以上に。今までの関係よりも、もっと…」
言われなくても分かってしまった。
赤面の僕は、無言で小野君のシャツの裾を引っ張った。
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