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「…グッ!……ェ」
あまりの衝撃に、目が覚めた。
「あら?。そんな所でレイちゃん寝てたの。
ごめんね~。
洗濯物干そうとおもってここを通ったから
まさか、レイちゃんが転がっているとは知らなかったし~」
柔和な笑顔で、照れくさそうに笑う母親。
年の割にたれ目が可愛い人で。
「りょーこさん。ハンカチ知らないか?。紺色のヤツだ」
少し白髪が混じり始めた男性が、ひょこりとリビングに顔を出した。
「あらあ。今、洗っちゃった。
モスグリーンのならアイロンかけてあるけど。
だめ?」
「そうか。
なら、モスグリーンのそれがいい。
干すのか?。りょーこさん、私も手伝うよ」
さり気なく近づくと、両手いっぱいのカゴを、取り上げる。
「ふふふっ。ありがとう孝一郎さん」
腕に絡みつき、甘い空気をだだ漏らす。
二人は外の干場へと濡れ縁から降りた。
小さい頃から見慣れた光景だが、寝起きにはつらい……。
ボリボリと首の後ろを掻き、跳ねる髪をかきむしりながら、
周りをキョロリと見渡すと、
二人の弟がソファやテーブルに力尽き転がっていた。
夕べ二人は俺のスマホをおもちゃにしていた。
近々くる俺の誕生日の記念に。
夕べ両親からプレゼントしてくれたものだ。
三男の頼(ライ)が、爆睡しながらも、握り締めていたスマホを取りあげる。
真新しいメタリックブルーのボディーに、四角い画面。
誕生日と
高校の入学祝いのダブルで
買って貰えた初めての携帯。
やべえ。
にやける。
「レイにい……キモイ」
寝起きのかすれた声に、顔を上げると、
ソファの上、半眼で起き上がった次男の海(カイ)がぼーっとしながら見つめてた。
「るせい。ほーら頼も起きろ」
ガンガン――!
テーブルを足で蹴りつけると、その勢いで頼の体がゆらゆら動き……。
「……んぁ!……」
起きた。
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