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「お母さん牛乳とってぇ」
「わぁ。きたねぇ!こぼすな頼」
「お母さん。今度は、厚切りの食べ応えのあるやつを買ってくれよ」
「えー。私パンは、薄切りがいい。デブっちゃう!」
「バナナとるなって!さっき食ったろ」
「バター回して」
「ミックスジャムどこ行った?」
「げっ!ポテトサラダにセロリ入ってる」
「コラッ!ハム返せ!海」
「りょーこさん。コーヒーのおかわりあるかい?」
「ブレンドでいい?」
賑やかな朝の風景。
わいわいと、賑やかな六人の食事風景が続く。
コトッ
カップを置く音。
「さて……お父さんはそろそろいくからな」
イスから立ち上がる父さんに
「どこに出張だったっけ?」
俺は聞いた。
「東京だ」
「はーい。はいはいお土産!」
頼が素早く反応する
「僕も」
海も便乗し
「ぁ。ずるーい私も」
愛(みい)も、のった。
「よし、わかった。レイは?」
立ち上がり、背広に袖を通しながら聞いてきた。
「俺はいらねぇよ。父さんが無事に帰ってきたらそれでィ!!」
「レイ!!」
この年で父さんに抱きつかれるのは正直イタい。
しかし、感極まって泣かれるのも、もっとイタい
さっさと仕事行け。
`
スーツケースを転がしながら、振り返り何度も手を振る父さんを、母さんが愛車の軽で新幹線に乗り込む駅まで送っていった。
母さんが帰ってくるまで大量の皿を黙々と洗う俺。
この後トイレ掃除が待っている。
海には一階と二階の掃除機掛け。
頼には風呂場の掃除。
愛には昨日取り込んだ大量の洗濯物の仕分け。
皆、黙々とする。
何故か?
答えは
春休みだから。
色々とやりたいことがあるからだ。
だからサッサとすませよう。
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