月の神話 Ⅱ

半円の櫛

「そうよ、あなたが過去を知りたがらなければ……」

恐怖で進む事さえ出来なくなった男の上に馬乗りになり、

「コッ……カッ……」

首を絞めながら話を続ける。

「あなたがここに来なければ……
私はこんな姿には……」

男は涙、鼻水、よだれ、呼吸出来ない苦しさが顔中の穴という穴から水分を出させ、

「この櫛は……
私の頭蓋骨から出来たもの……」

男は墜ちる。