Chapter1

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 否定できない。ウラルは黙って眼を閉じ、僅かに逡巡してから再び瞳を開けた。クスッと微笑む。 「そうでしたね。私は異教徒であるマグナ人を追放したい、貴方は排斥したい。若干意味は異なりますが、根本は一緒ですから」 「先見のあるジョーカーなら、今日ここに呼んだ意味が解るだろう?」 「“最後の仕込み”ですか?」 「それともう一つ、武闘大会に参加してもらいたい。既に手続きも済ませてある」 「武闘大会に……。私が、何故?」  明後日開催される武闘大会は、衆目の意識をそちらに向ける役割の方が大きい。大会自体に大した意味など持たないのだけれど。 「実はイレギュラーが発生してね。部下の報告だと、若い男がマグナ人を助けたようなのだよ」 「……若い男、ね」 「黒い服に身を包んだ銀髪の男らしいがね。その男も大会に参加するようでね、出来れば見張っていて欲しいのだよ」 「それなら、構いませんが……」  ウラルは黙したまま指を二本立てる。それか意味するのはたったの一つ。 「二万ガルドかい?」 「ええ、最後の仕込みと見張り代で二万ガルド。お安いでしょう? 何しろ都民の税金を不当に押収しているんですから」 「いやはや、君にそれを知られたら儂としても二万ガルド支払うしかないか。……ジョーカー君は守銭奴だねぇ」 「まぁ、私が崇めている神様はお金の神様ですからね」
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