Chapter1

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        □ □ □ 「こんなところにいたら風邪引くよ」  同日、深夜。  サラは悪戯心からネアの寝台に入り込もうとしたのだが、布団の中が藻抜けの空である事に気付いた。  どこに行っているのか気になり、サラ特有の気配探知を使ってその足取りを追ってみると、やはりというかネアがいた。  交易都市内部を流れる小川。芝生の整った川原に座っている姿は、スゴく幻想的だった。下手すれば女の子にも見える中性的な容姿に加え、線の細い華奢な身体なのが致命的だ。  ネアは振り返ることすらせずに、お前かとため息混じりに答えた。 「風邪なんて、小さい頃以来引いていない。夜風に当たったぐらいで病気になるか」 「だからって、今後一切病気にならない保証は無いでしょ? 年上の忠告は真面目に聞くもんだと思うけどね」 「余計なお世話だ」  いつも通りの反応。昼間も見た黒い服装。だからこそ、銀髪が良く映える。尤も、トレードマークの一つと言ってもいい黒いニット帽を今は被っていないのだが。  ――ネアって、言葉や表情からは読み取りづらいけど、どこかしかに変化が現れるんだよね。  解りやすい人間なのかもしれない、意外と。 「隣、座ってもいいかな?」 「座ってから聞くなよ。オレの意思なんて最初から無視なんだろ?」 「細かいことは気にしない気にしない!」
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