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「また唐突だな」
「だって、色々と思うところはあったでしょ?」
「…………そう言うサラはどう思った? ソーランドと交易都市の違いをどう感じた?」
「私? 私はね、そうだなァ」
まさか聞き返されるとは思っていなかったため、咄嗟に言葉が思い付かない。
数拍の間を設けてから、サラは率直な感想を口にした。
「取り合えず、あの子達が嘘を吐いているようには思えなかったね。私たちに感謝しているみたいだったし、ジュズ婆も差別が酷くなったのはここ最近だって言ってたし」
「八年前の奴隷解放宣言と同時に発布された人種差別破棄。勿論、そう簡単に浸透はしないと思っていたがな」
「その割りに、結構ショックだったみたいだけど?」
「……否定はしない。実際、ソーランドを訪れた時も愕然とした。バランディア王国内で、人種差別が罷り通っている惨劇を見たんだからな」
ソーランド山脈にほど近い、バランディア王国南部にある都市では、確かに人種差別があったものの交易都市程では無かった。
差別といっても偏見や蔑視に晒される程度で、今日の昼間のように生死に関わる問題にまで発展しなかった。
「でも、今回のそれはソーランドよりも更に酷かった。その原因は不明。子供たちの話だと、ある日を境に酷くなったんだよね?」
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