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「勿論?」
「うれ――」
と。ここまで来て、ネアはうッと言葉を詰まらせた。ゴホンとわざとらしく咳払い。右手でポリポリと頭を掻く。
「何でもない」
「何よー。最後までちゃんと言いなさい。お姉ちゃん命令よ!」
「誰がお姉ちゃんだ。鬱陶しいって言おうとしたんだよ。お前が期待するような内容じゃない」
淡々と答えるネアだが、僅かに頬が赤くなっている。親しい間柄の人間じゃなければ解らないような僅かな紅潮だった。
「ふーん、まぁいっか。それにしても、やっぱり最近太ってきたのかなぁ。運動しないと不味いかも」
「自覚が出来てきたのは良いことだな」
「その反応ムカつく! 大体ネアが痩せすぎなのよ。男の子のくせに貧相だし、中性的な顔付きでムカつくし、女の子になりたいわけ!?」
「お前は一体何に対して怒っているんだ?」
ネアは呆れた様子で、やれやれと首を横に振る。
「貧相なのは認めるが、別に好きで貧相な訳じゃない。食べても食べても太らない体質なのだから仕方無いだろう」
「女の子の敵め!」
「それ、アーシャにも言われた。どうして太らないのですかと聞かれたから答えてやっただけなのに。……女という生き物はまるで理解不能だ」
「女心が解らないとモテないよ?」
「誰がモテたいって言ったんだよ。せめて意思疏通がちゃんと測れるぐらいにはなりたいがな」
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