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そもそもこの男、恋愛感情という人間に備わっていて然るべき物を持っているのだろうか。
サラが確認し得る限りだと、その兆候すら見当たらないのだけれど。
「ハーレム物とかに興味ない?」
「無いな」
「男の夢でしょ? もしくは、男の浪漫でしょ?」
「随分と俗物的な夢であり浪漫だな。残念だが、そんなものに一切興味は無い」
「はぁ、随分と寂しい生き方だねぇ」
「ほっといてくれ」
「勿体無いなぁ。モテそうな顔しているのに」
これは本音である。
一見すれば女性だと判断できそうな綺麗な顔に、ミステリアス染みたクールな性格。その辺りが好きそうな女性を手駒にすれば、信者すら獲得できそうなスペックを誇っているというのに。
「大体、オレたちはそんな物に手を出している暇は無いし、お前だって本気で口にしていないだろうが」
「案外本気だよ?」
「…………それよりも、だ。最近になってから更に人種差別が酷くなったって話だが、お前はこれをどう見る?」
大幅に話を戻したネアに、サラは意外だなと内心首を傾げた。自ら核心部分に触れてきた。
――余程今回の人種差別に憤っているのか、それとも私の勘違いだったのかな……?
「どうって言われてもねぇ。急激に世論が変わる原因としたら、やっぱりメディアの操作かな? もしくは、人気のある都市長さんが大々的に反マグナ人を宣言したか」
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