Chapter1

37/153
561人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
「歴史の大半はな」  バランディア王国では信仰の自由が認められている。それはマグナ人の偶像崇拝とて例外ではないので、明確な宗教対立ではないだろう。  なら、メディアによる意識操作なのだが。 「そういえば、もう一つ戦争の仕方があったよね。なんだっけ、植民地化計画の時に使う奴」 「ああ、アレか。西暦時代に起こった大航海時代に倣ったモノだが、賢い遣り方だろうな。オレもそれを習った時は善悪の是非はともかく驚嘆したものだ」  西洋が東洋の国々を植民地にしていく時、まずすべきことは宣教師を送ることである。そして、布教を始め信者を増やし、それを足掛かりとして軍艦を差し向ける。  信者は西洋の偉大さに恐怖を覚え、大した抵抗をせずに軍艦を受け入れる。最後に商人を送り、植民地化計画は終了である。  全ての戦争が軍事から始まるのではなく、このように宣教師もしくは商人から開始されることも珍しくない。  ネアが淡々と説明するのをサラはうんうんと相槌を打ちながら聞いていく。  元々、知っているからだ。  よくネアが解らないふりをするなと諌めてくるが、そうしないと相手が本当に解っているのか信用できないではないか。  サラは、知ったかぶりされるのが一番嫌い。大嫌いである。 「一先ずさ、もっと情報を集めないと推測の仕様がないね」 「お前が都民全員に聞き取りでもするか?」 「えー、めんどいなぁ」
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!