561人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
■ ■ ■
「へぇ。翔子ちゃん、クレープ食べるの初めてなんだぁ。美味しい?」
「うん!」
翌日、輝かんばかりの晴天。雲一つ無い。西暦時代から少しも変わらない太陽の恩恵を受けながら、サラは交易都市の公園にいた。
「それ、チョコレートクレープだったけど、サラお姉ちゃんにも一口ちょうだい」
「いいよ、お姉ちゃん」
黒髪黒目のおかっぱ姿をした幼女、添垣翔子の微笑みは破壊力抜群だった。
悶絶しそうなほど、可愛い!
「はい」
頬にチョコレートクリームが付いたまま、翔子はクレープを差し出す。食べかけだ。このままサラが一口貰えば、間接キスになりうるが――。
――やっぱり幼女ってスッゴい可愛い! ネアもこんくらいの時が在ったなんて信じられないなぁ。
銀髪黒服で何事にもぶっきらぼうな少年は、こんな気持ちの良い快晴な日でも宿に引きこもっている。
「……んん!? ――このチョコレートクレープも美味しいね!」
「うん! すごく美味しいよ!」
素直だ。ネアと百八十度真逆の素直さに、サラは感動して泣きそうな気分になる。というか、癒される。
「でも、良かったのかな……。わたしだけ、クレープを食べちゃって」
「しょうがないって。他の子たちはジュズ婆と食べ放題のお店に行っちゃったし。ネアは昼寝してるし」
「お兄も、来れば良かったのに」
最初のコメントを投稿しよう!