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「じっちゃ! これでミケのこと認めてくれたか!? ミケもじっちゃと同じダンボールに住んでいいか!?」
息巻くミケに“じっちゃ”は手をひらひらさせて、笑い出した。
「小坊主、お前は家を持たぬ野良猫なんじゃろ? いかんいかん。ワシの家で猫を飼うつもりはないし、それに居着いてしまえばもう飼い猫じゃ。ミケ、お前はそういうしがらみを棄てたいんじゃろ? ワシの家に住もうなどと、二度と言うんじゃないよ」
「でもじっちゃ。ミケ、もう五度も十度もじっちゃに頼んでいるよ」
「そうだったか? 諦めの悪い小坊主じゃ。ワシと住んでどうしようと言うのじゃ。お前は家も家族ももっておる。野良猫なんて嘘っぱちを言いながら、安楽な逃げ道を残しておる。ワシらとは根本的に違うのじゃ。だから了承しておくれ、飼い猫ミケよ」
「ミケは飼い猫なんかじゃない!」
憤慨したミケはじっちゃの呑んでいたビール缶を投げつけた。ダンボールハウスが小さく揺れ、“じっちゃ“から外れた缶がカラコロ転がる。
“じっちゃ”は目を細めてミケを見詰め、「ワシがお前に声を掛けなければ良かったのじゃろうな……」と寂しそうに呟いた。
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