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少年は自らの血と、誰のものであるかも判らない血で濡れた銀色の甲冑をガシャガシャと鳴らし、大声を上げながら走っている。
「メイーー!! マールーー!!」
ゴメン! ちょっと親父に
つかまっちゃってさ……
ちょ……ちょっと待ってよ〓
岩に隠れているマール
が岩にそっと手をかけ、
ゆっくり顔を出す。
その少女は一糸纏わぬ姿で、 色鮮やかな鳥達とともに
水浴びをしていた。
マールは慌てて逃げ出した。
マールにいたってはうつ伏せで地面に寝転がったまま、砂だらけの顔だけが向いている。
ちょっと用足して……
マールはガチャリと
甲冑を鳴らして立ち上がると……
鳥達は飛び立ち、
少女は両手で体を隠して
キッとこちらを睨んだ。
昨日のはあなた達ね!!
あら。心外ね。
私はそんなに安くないわよ!?
メイはネックレスを 首から下げると、
小さなベルを胸当て の中にしまった。
あったあった!! ライト!!
ちょっと手を開いて!
指輪?
これのお返しよ
メイは自分の首に下げている コールストーンのネックレスを……
「メイー!! 返事してくれ!! メイーー!!」
少年の体力は既に底をつきかけていた。
今にも切れてしまいそうな意識の糸を繋いでいるだけで精一杯である。
く……てめぇ……俺の部下を
何人も殺しやがって
細身の男の瞳に、 狂気にも似た暗い炎が 燃え上がる。
しかし、それは言いがかり
という物で……
意識が遠退いて行くのを
感じながら……
少年はガクリと膝を着き、
そのまま大地へと倒れ込んだ。
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