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次の日の朝早く、旅支度を整えた三人は研究所の入り口前でめいめい荷物を確認していた。
「おいステファン、本当に研究成果を全部置いてきて良いのかよ?」
「しょうがないよ、どうせ帝国のことだもの。調べるだけ調べさせて使う気ゼロに決まってる」
「二百年前から水周りも動力機関も全く同じものを使い続けているからな。国そのものも衰えているし、もはや発展しようという意欲も無いんだろう」
この三人は一応、帝国直属の研究所のスタッフである。帝国はかつて初代皇帝シクストスの時代に、その発展に資する文化を育てるため、様々な高等技術を有したと言われる古代文明の研究施設を各地に展開した。
しかし建国から約四百年の時を経てこれらは形骸化し、その成果が帝国の民衆のために活かされる事は無かった。
「そりゃあなぁ…俺達がいくら頑張ったところで、お偉方が全然反応してくれないんだもんな。しょうがないっちゃしょうがないけど、なんか残念だよ」
少し未練があるかのように、サイモンは木造りの研究所を眺めていた。
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