【研究者の旅立ち】

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「わ、わ…なんだ、何が起こったんだ?ひえっ!この蛇、いつの間にか首がなくなってるよ?」 「―落ち着いて。男の子でしょ?」 優しげだが、どこか威厳のある女性の声が聞こえてきた。ステファンとパトリシオも、それに気づいて声のした方を振り向く。 「ごめんなさいね、あんまりいきなりだったから少し驚かせちゃったかしら?」 青い髪の女性は三人に当たらないように返り血を払うと、すっとその剣を鞘に収めた。 「…見事すぎるくらいの早業だった。ともかく、ありがとう。これで仲間が助かった」 パトリシオは驚きを隠さぬまま、女性に向かって頭を下げた。 「いやぁ、凄いねぇ。本当に助かったよ」 ステファンは相変わらず、何事も無かったかのように飄々としていた。 「あ、ありがとうございます!」 一番大振りな反応をしたのはやはりサイモンで、少し頬を赤らめて頭を下げた。足にはまだ蛇の亡骸が巻きついたままになっているので、いささか不恰好だった。 「あら、左足に蛇が包まったままね。取ってあげるからじっとしてて」 「あ、はい…」 サイモンは更に顔を赤くして、少しもじもじしながら女性の介抱を受けた。 「どうしたの?恥ずかしがる事はしてないと思うんだけどなぁ…」 と、素直に疑問を浮かべる女性にステファンが答えた。 「彼は女性に免疫が無いんだよね。だから、こうしてなかなか面白い反応をするんだよ」 「久々に見せてもらうと、やはり良い図になっているな」 「うるさいな、お前らも揃いも揃って絶食系のくせに」 「あら、三人とも女の人に興味が無いってこと?」 またまた素直に、青髪の女性は尋ねてきた。 「別にそういうわけではないのだが」 「仕事柄、触れ合う機会が無いんだよね」 ステファンとパトリシオはあっさりと答えて、その話を終わりにしようとした。
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