1人が本棚に入れています
本棚に追加
「わ、わ…なんだ、何が起こったんだ?ひえっ!この蛇、いつの間にか首がなくなってるよ?」
「―落ち着いて。男の子でしょ?」
優しげだが、どこか威厳のある女性の声が聞こえてきた。ステファンとパトリシオも、それに気づいて声のした方を振り向く。
「ごめんなさいね、あんまりいきなりだったから少し驚かせちゃったかしら?」
青い髪の女性は三人に当たらないように返り血を払うと、すっとその剣を鞘に収めた。
「…見事すぎるくらいの早業だった。ともかく、ありがとう。これで仲間が助かった」
パトリシオは驚きを隠さぬまま、女性に向かって頭を下げた。
「いやぁ、凄いねぇ。本当に助かったよ」
ステファンは相変わらず、何事も無かったかのように飄々としていた。
「あ、ありがとうございます!」
一番大振りな反応をしたのはやはりサイモンで、少し頬を赤らめて頭を下げた。足にはまだ蛇の亡骸が巻きついたままになっているので、いささか不恰好だった。
「あら、左足に蛇が包まったままね。取ってあげるからじっとしてて」
「あ、はい…」
サイモンは更に顔を赤くして、少しもじもじしながら女性の介抱を受けた。
「どうしたの?恥ずかしがる事はしてないと思うんだけどなぁ…」
と、素直に疑問を浮かべる女性にステファンが答えた。
「彼は女性に免疫が無いんだよね。だから、こうしてなかなか面白い反応をするんだよ」
「久々に見せてもらうと、やはり良い図になっているな」
「うるさいな、お前らも揃いも揃って絶食系のくせに」
「あら、三人とも女の人に興味が無いってこと?」
またまた素直に、青髪の女性は尋ねてきた。
「別にそういうわけではないのだが」
「仕事柄、触れ合う機会が無いんだよね」
ステファンとパトリシオはあっさりと答えて、その話を終わりにしようとした。
最初のコメントを投稿しよう!