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「そうなの…ごめんなさい、初めて会った人になんて話してるのかしら。そう言えば、貴方達はどういう仕事をしてる人なの?」
向こうのほうから話題を変えてきたので、ステファンが代表してこれに答えた。
「僕らは帝国の古代文明研究施設の人間だったんだけど、近いうちにガロンヌから帝国が撤退するって事で、バエトあたりで新しい仕事を探そうかな…っていう感じで今出発したばかりなの」
「あら、それなら目的地は一緒ね」
「本当ですか!」
蛇から解放されたサイモンが、すっと立ち上がった。
「うん。バエト州のウエスカという街に仲間が待っているから、合流しようと思っていたところなのよ。良かったら、一緒に行かない?」
「これは、渡りに船だな。是非協力して欲しい」
「実はちょうど護衛を探していたところなんだ。もちろん、それなりの見返りは…」
言いかけたステファンを、女性は優しく制した。
「いらないわ。研究者さんって、いろいろ大変な思いをしている上にそんなに儲からないって聞いたから…私への報酬は、無くても大丈夫よ」
「さらっときつい事言ってのけてくれるね」
「しょうがないってステファン…事実だろ、それは」
女性に同意するサイモンの顔は、まだどこか恥ずかしそうだった。その二人を尻目に、パトリシオは丁寧に挨拶をした。
「何はともあれ、これで一緒に行く事が出来るな。迷惑をかけるかもしれないが、よろしく頼む」
「ええ、よろしくね。私はオルタンスよ」
「僕はステファン。こっちの青いのがパトリシオ、黒いのがサイモンね」
「なんて手抜きな紹介してるんだ!」
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