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見渡しのいい直線道路、いくつもつづく信号は、えんえんと赤を点滅させる。そうして僕はまた、地団駄を踏むのだ。
車窓いっぱいに差し込む西日に負けないように、僕は目を細めながらも閉じはしなかった。閉じてたまるもんかと思った。
ラジオはテンポのいい曲を流しつづけ、僕はたまに歌詞を間違えながらも、その懐かしい歌を口ずさんだ。
ひとつ先の信号が、青になった。もうひとつ先も、そのまた先も、青になった。みんな、進めと言われるままに、何となく目的地へ向かっていく。
僕は、僕を止めている信号だけ、青にならなかった。
まあ、いいさ。少しくらい待つよ。どうせ進めといわれたって、終着点などとうに失った。
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