第一章

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これを残暑と言っていいのか、僕は常に疑問に思っている。九月に入り暦上は一応秋らしいが、ニュースから聞こえてくるのは連日の夏日という言葉。これだけ夏日が続くなら九月も夏に入れればいいのに、と僕は思う。 そうすれば、もしかしたら、夏休みがもう一ヶ月伸びるかも知れないというのに……。 僕は定位置になっている、窓側の一番左の席に座りながら真剣にそんなことを考えていた。 ギラギラと輝く太陽がうざったくてカーテンはすべて閉めている。エアコンなんて贅沢なものがたかが同好会の部室にある訳もなく、窓とドアを全開にして空気の通り道を作ってはいるものの気休め程度だ。 本を閉じてしまう。このうだるような暑さの中では読む気にすらなれなかった。
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