プロローグ

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僕は部室棟四階の東端にあるドアを開いた。 中は教室より一回りほど小さい。壁は本棚で上のほんの少ししか見えなくなっていて、それだけの本棚があるにも関わらず本は床に溢れている。隅には小さな丘が出来ていた。 窓を開き、四個の長机をくっつけた大きな机の周りの椅子に腰掛ける。 むわっとした息苦しい空気は外へ抜けていき、代わりに蝉の大合唱が部屋を満たした。 鞄の中から一冊の小説を取り出す。タイトルは茶色の皮のブックカバーのせいで見えない。 本を静かに読み始めた。
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