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しょっぱいのは嫌い。
僕は甘いのがだぁい好きなんだっ♪
だから君が作るたくさんのお菓子は
僕の大好物。
君は「甘いものばかり食べてたら太っちゃうよー!」
っていうけど
君の手は
僕の為に得意のアップルパイ作ってる。
気づいてる?言ってることとやってること、矛盾してるのー?
君とのキスの味もやっぱり
アップルパイのように甘酸っぱい。
なぜだか僕は君はいなくならないって
不安定な根拠を持って、
自分勝手に甘えてた。
…けど、君は突然に姿を消した。
「ごめんね。さようなら。」
見慣れた字の小さなメモを残して。
必死で雨のなか君を探した。
でもね、本当は気づいてたんだ。
君とのキスの味が僕の嫌いな
しょっぱい味になったこと。
いつからか、涙を流してたこと。
もう会えないってこと。
わかってる。全部僕が悪いことくらい。
雨の日は嫌い。
君の名前を呼んで開いた口に
雨の苦い味がする。
だから、下を向いて歩く。
なぜか、開いたままの口の中がしょっぱい味がする。
そうか…僕も泣いてるんだ…。
大きく息を吸う。
ダメだね。僕には泣く権利なんてない。
君の名前を呼ぶ権利もない。
もう一度大きく息を吸う。
案外、苦い味も悪くない。
僕は前を向いて雨の中を帰路に向かって
歩いた。
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