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もうすぐで桜が咲くという暖かな春のある日。
私たちはいつもの場所にいた。
「ね、海?」
「…ん?」
彼が下から見上げてくる。
膝枕をしているから、少しでも動かれると髪があたって、くすぐったい。
海の、さらさらな髪がすごい好きだった。
「何か欲しいもの、ある?」
「…ないよ。美亜は?」
「…居場所が欲しい。あとは何もいらない。海がいてくれたら…それでいい。それだけで十分だよ。」
海がそっと手を伸ばしてくる。
そして、ゆっくりと私の髪をいじり始める。
「…じゃあ、ずっと一緒にいようか?」
「…ずっと…って、どれくらい?」
「死ぬまで、じゃない?」
ゆっくりと海の顔が近づいてくる。
それに合わせるように、ゆっくりと目を閉じる。
「美亜、約束。」
そして、私達はキスをした…。
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