プロローグ

2/2
153人が本棚に入れています
本棚に追加
/179ページ
もうすぐで桜が咲くという暖かな春のある日。 私たちはいつもの場所にいた。 「ね、海?」 「…ん?」 彼が下から見上げてくる。 膝枕をしているから、少しでも動かれると髪があたって、くすぐったい。 海の、さらさらな髪がすごい好きだった。 「何か欲しいもの、ある?」 「…ないよ。美亜は?」 「…居場所が欲しい。あとは何もいらない。海がいてくれたら…それでいい。それだけで十分だよ。」 海がそっと手を伸ばしてくる。 そして、ゆっくりと私の髪をいじり始める。 「…じゃあ、ずっと一緒にいようか?」 「…ずっと…って、どれくらい?」 「死ぬまで、じゃない?」 ゆっくりと海の顔が近づいてくる。 それに合わせるように、ゆっくりと目を閉じる。 「美亜、約束。」 そして、私達はキスをした…。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!