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『そうか…答えてくれてありがとう…』
「いえ、どういたしまして…」
武市は、にっこりと笑う。
「はんっ!僕とか女の癖に気持ち悪いな!」
以蔵は、馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
『あぁ?なんだとやんのか?この気持ち悪い男が!!』
「誰が気持ち悪い男だ!この鬼が!!」
『……………なんで…』
鬼とゆう単語に体を硬直させ目を見開き驚いた。
「あぁ?」
『なんで僕が、鬼と呼ばれてるってわかったの?』
「なんだ?あだ名が鬼なのか?俺はただ春鬼だから言ったんだが?」
なんだ…名前から言ったわけか…
安心したのかはぁとため息をつく。
「それにしてもそんな格好しては役人に捕まってしまうよ?」
武市は、心配そうに言った。
そうなんだ…でも金もないし…行く場所なんてもってのほかだし…
『僕には、お金がないし行く宛もない…』
唇を少し噛みながらそう呟いた。
「………なんか訳ありのようだね?なら一緒にくるかい?」
「なっ!?先生!」
「以蔵…これは、僕が決めたことだよ?異論は認めない…」
「はい…わかりました…」
『いいの?』
「はい…そうと決まればさっさと移動をしよう…」
そう言って春鬼の手を取りゆっくり歩き出した。
あ…手…なんて温かいんだろう?
春鬼は、驚きながらも嬉しそうに手を握り返した。
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