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七海?
今はまだ、俺がホストだったってだけで傷つき、何色にも染まっていない七海だけど。
でもいつか……。
もう少しだけ大人になったら、一華という女の存在を、どうか受け入れてやって欲しい。
全てを知った時、俺にしたように厳しい眼差しを向ける前に思い出して欲しい。
渦巻く欲望に呑み込まれもせず、一華は清く綺麗な存在だったってことを……。
一華を支えたのは、七海だ。
七海がもっと幼かった頃。
愛らしい七海の汚れを知らない瞳を見る度、この子に恥じぬ生き方をしよう。
そう一華は何度も思いながら胸に刻み込んで生きて来た。
だからどうか、俺が予防線を張り巡らせながら語った意味を、少しだけで良い。考えて欲しい。
七海が、全ての真実に気付く日は近い。
でもその時。
おまえが訊きたいと言うのなら、何度だって俺は、一華の話を訊かせてやる。
そして、最後に俺は自慢気に言うつもりだ。
俺が愛しているのは、この世でただ一人。
誰よりも純真な女であるということを……。
そして、この想いは疑いようもなく……
純潔な愛なのだと────。
Fin.
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