-イノセント- 真実

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この台詞こそをあたしに言わせたいが為に間を開けたんだと気付いて、その思惑通りに尋ねてやったあたしは人が良いと思う。 と言うよりは、自分から作る沈黙は良くても、相手から作られる沈黙には耐えられない気まずさに、口を開いた自分は小心者だって言う方が正しいのかもしれない。 ついさっきまでは、言いたいことは言ってやるくらいの勢いがあったはずなのに……。 沈黙に受けて立つほどの気の強さは影を潜めた。 少なからずとも、その勢いが削がれたのは、間違いなく響ちゃんがとくとくと話したせいで……、 あたしの中で作り上げていた一華さんって言う人間像が崩されたせいで……、 響ちゃんの望み通りになっていく自分に嫌気がさしてくる。 響ちゃんが言わせたい台詞まで素直に言っちゃうほど、まんまと響ちゃんにペースを持って行かれ、一華さんのイメージが崩れて行く自分を呪いたいまでに嫌気がさす。 だって、もし一華さんがイヤな女じゃないとしたら!? あたしは、何を理由に響ちゃんを責め立てれば良いんだろう。 何を盾にノンちゃんを守れば良いんだろう。 嫌な部分が少しだけでも良いから見つけられればいいのに……。 そんな事を望んでしまうあたしの願いは、どうやら叶えられそうにもない。
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