-イノセント- 真実

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この短時間で、そんな風に同情さえ覚えてしまう相手に、 「俺に価値があるのか? って、言われて以来。誤魔化してもしょうがねぇと思った俺は、一華の前で取繕う事を止めた。 それからだ。一華がそういう事情を打ち明けるようになったのは。そして俺は、そんな一華にどんどん惹かれていった。 憧れから惚れるまでに変わるまで、そう時間はかからなかった」 響ちゃんが惹かれるのも無理はないって思ってしまった。 「毎日メールするのが楽しみで、見返りを求めず、ただ単に一華に逢いたくて、たまには、一華の店にも足を運んだりもした。 帰る客に、ありがとうって言われてる、夜の世界じゃ一流な一華の姿を見ては、俺なんかが手を出しちゃいけねぇ女だって思い知ったし、 手を出したところであしらわれるのは分かっていながら、一華への想いを捨てられずにいた。 仕事の悩みを話せば黙って訊いてくれて、俺の為に遠回しなアドバイスで答えを導き出させようとする一華に…… 俺は完全に溺れていった」 そんな女性なら、好きになってしまうのもしょうがないんじゃないかって思ってしまった。 「なのにある日突然、一華は夜の世界を上がっちまった。 俺に何も言わずに……」 だけどね? って、やっぱりそう思わずにはいらない。
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