- イノセント- 真誠

2/9
前へ
/54ページ
次へ
「……ぁん……」 「……っ……」 「ぅっ……ぁっ」 「一華……っ」 俺の動きに合わせて揺れる白い裸体は、シーツに波を作り、 あの頃と何一つ変わらない美しい顔は、激情に呑まれ歪んでいる。 朱の華が散りばめられた艶やかな肌に手を滑らせながら、 「一華……ずっとこうしたかった」 長いこと募らせてた過去からの想いの丈を、声で身体で伝えれば、細く白い腕が伸び首に絡みつく。 「……んんっ……ぁっ……響っ」 掠れる声で切なく俺を呼ぶ声は、あまりにも甘美で、 過去に成し得なかった情熱をぶつけ、それを制御するだけの理性は残されちゃいなかった。 「もっと呼べよ……もっともっと俺を呼べ」 止められぬ欲望と押し迫る限界のせめぎ合いの中。 愛しい人を乞う俺の胸は、泣きそうなほど震えていた。 「ひ、響……ひびき……ぁあっ」 何年も前に封印した、夜に生きてた時代の名で何度も呼ばれれば、一気に駆け上る熱。 「一華……愛してる……っ」 「私も……っ……愛して……る……」 消え入りそうな愛しい声に導かれ、俺は最愛の人の中で果て、全てを注ぎ込んだ。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加