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出ていたヨダレを服の裾でキレイに吹いてからポケットに手を伸ばす。
ヨダレが出ているままじゃ変な人だと思われそうだからな。
何あの子…ヨダレが出てる…気持ち悪――。
なんて言われたら人溜まりもない。
心に五センチ…いや十センチぐらいヒビが入りそうだ。
そうして俺はポケットから一枚の紙を出す。だが、それはただの紙ではない。その紙には魔力が込められていて、星形のラインが引かれている。
それが魔力が込められている証。そして今、現在を生きるものなら誰でも持っている。持っていないのは連絡に興味が無いやつぐらいだろう。
こいつは他人との連絡を初めて可能にした便利な代物で、売り上げは相当らしい。連絡手段はこれしか無いのだから売れる理由は分かる。
誰からの連絡が来たのかを区別するには相手の声で判断するしかないが、こちらから掛けることは簡単だ。
その紙に自分の魔力に乗せて掛けたい人を強く願うことで繋がるのだ。もはや魔力に出来ないことなど無いって感じだな。
「さてと、誰だろうな?」
俺は何か悪いことをしたというのか…それ以外のことでこの人から掛かってくることは今まで一度も無いのだが…
声を聴いて分かった。
親父だ…
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