親無し風之介

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 老人は、それならばとにぎり飯をひとつ差し出した。風之介は、この恩はいつか必ずと一礼すると勢い良くかぶりついた。    風之介の食べっぷりに感心しながら老人は前歯の抜けた口で大笑いしている。    風之介はにぎり飯を食べ終わると即座に頭を下げ、再び山道を進んで行った。    しばらくすると、また人の気配がする。今度は一人ではない。五、六人の大男が、ゆっくりとこちらに向かって来る。
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