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男の中一人は風之介を見付けると、
「おや? 子供が一人、歩いて来るぜ?」
と、下品な笑い声を発した。それと同時に、全員が風之介を囲い込んでしまった。
「これは一体、どういう事?」
急の事に戸惑う風之介だが、男達はニヤニヤと風之介の顔を眺めている。
「美味そうな子供だ」
風之介は懐の短刀に手を添え半身に構えた。
「抜くぞ!」
周囲を威圧しながら風之介は、以前の父とのやり取りを思い出していた。風之介の父は、風之介の前では一度も刀を抜いた事が無かった。
「お父ちゃん、お父ちゃんの刀、見せておくれよ」
すると父の表情は、忽ち凄みを帯びた。そして静かに話し出した。
「刀を抜くと、人間は獣になる。獣になった私は、お前を喰ってしまうぞ! それでも良いか?」
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