葛藤

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結局、罰ゲームは絶対嫌だったので、明日のデートの約束をさせられてしまった…。 17歳の高校生とデートなんて、蓮が知ったらどう思うだろう…。 頭がおかしくなったと思われるかな… しかし困ったぞ… 明日私は翔也にどう接したらいいのか全く解らない。 恐怖に怯えてその夜はほとんど眠れなかった。 翌朝9時… 結局私は駅前で翔也を待っている。 こんな明るい時間に誰かと待ち合わせなんて、大学時代の彼氏とのデート以来だ。 …蓮と昼間会うなんて望んだ事もなかった私にとって、本音を言えばとてもドキドキで、今にも胸が張り裂けそうな状態だ。 「時間厳守とか言っておいて自分が遅れてるんじゃん…」 時計を見ると、もう9時5分を過ぎている。 …まるで拷問だ…。 「茜」 後ろから声が聞こえて私はビクっとした。 私が慌てて振り向くと、またクスクスと翔也が笑っている。 「遅いっ!」 …言ってしまってから、大人げない自分に反省した。 「待たせてゴメンね、じゃ行くよ」 そう言いながらさりげなく翔也が私の手を取ろうとしたので私は慌てて手を引っ込めた。 「…ちょ!…手は…」 「デートなのに?」 「だ…だって…こんなおばさんと手繋いでたら、悠木くん変な人だと思われるよ?」 私が焦りながら言うと、翔也はじーっと私を見つめた。 …あ…また蓮と同じ目だ… 「茜ってそんな体裁とか気にするんだ」 「…え?…そりゃするでしょ」 「…それで楽しいの?」 「…………」 何も言えなかった。 楽しくなんかない。 本当は蓮とだって並んで歩いてみたい。 誰の目も気にしないで手を繋いで歩いてみたいよ…。  
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