葛藤

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「…あのさ、普段の茜はそういう事、蓮と出来ないんでしょ?」 翔也に心の中をいきなり読まれて私は激しく動揺した。 「でもさ、俺は蓮じゃないよ? 茜と手を繋いで歩いてたって誰にも迷惑かけないんだから、気にする方がおかしいんじゃない?」 …はい… 全くその通りです…。 「何か反論ある?」 「…ないです…」 翔也は何も言わずに、もう一度私の手を取った。 …恥ずかしい… …きっと私は今、すごく赤い顔をしている事だろう…。 ズンズンと歩いて行く翔也に、引かれて行く飼い犬のような姿を世間にさらけ出してる気分だ…。 黙ったまま、切符を2枚買って改札に進む翔也に私は慌てて言った。 「…あ…切符のお金払うから」 「いらない」 …もうおばさんはどうしたらいいんでしょうか王子様…? 「…どこ行くの?」 「教えない」 すっかり王子様はご機嫌ナナメの様子。 これは仕方ない…もう今日は一日翔也の奴隷に徹しよう。  
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