葛藤

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電車に乗って翔也は二人掛けの席に腰かけた。 翔也の腕と私の腕が繋がったまま密着している。 …ヤバイくらいドキドキする私の鼓動。 そんな私にはお構いなしに、翔也は窓の外を眺めている。 「…あは…なんか緊張しちゃうよ」 ビクビクしながら翔也に視線を送って言うと、翔也がクスクスと笑い出した。 「茜、まるで怯える小動物みたい」 「…ひど…」 やっと笑ってくれた翔也にホッとして私も笑った。 バイト先の中谷さんの話や、翔也の学校の話、私の大学時代の頃の話をしながら電車は進む。 「次の駅で降りるから」 翔也が降りると言った駅は、大きな遊園地のある駅だった。 「…え?もしかして遊園地行くの?」 「そ。デートなら定番でしょ?」 ニヤっと笑う翔也にまた私は顔が引きつった。  
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