恋しくて

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「心配しなくても俺、他の男に心がある女にはそういう事しないから」 「…べ…別にそんな事…お…思ってなかったし」 「素直にならないとおしおきするよ?」 …あの… 君と私、どっちが年上でしたっけ? 悔しさと、目の前にいる王子様の恋しさが入り混じって私の心がグラグラ揺れる。 「茜が蓮と別れたらキスしてあげる」 ニマニマ笑いながら言う翔也に懲りない私は、ささやかな反抗を試みる。 「別に、悠木くんにキスして欲しいなんて思ってないし」 「そんなにおしおきされたいの?」 「だって本当に思ってな……はぐっ」 …私の口の中に、翔也の人差し指が突っ込まれて私は言葉を塞がれた。 …な…何をするんですか王子様? 「…甘噛みして」 「…………」 「蓮にしてるみたいに」 首を横に振っても、翔也の目があまりにも怖いままで私は涙目になってしまった。 じーっと怖い視線の翔也は黙って指を私の口に突っ込んだまま私を見下ろしている。 「早くやって…もう観覧車下に着くよ」 今まで見た事もなかったような、冷たい視線の翔也に抵抗を諦めた私は、そのまま翔也の指を甘噛みした…。
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