恋しくて

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「また明日」 その言葉が私はとても嬉しかった。 蓮は絶対に言ってくれない言葉…。 私は幸せな気分で部屋のドアを開けた。 ソファーに座って一息つくと、あの観覧車の中で見た翔也の刹那そうに揺れた瞳が私を支配した。 …翔也は… 私に何を求めてるんだろう… あんなに素敵な男の子が、こんなおばさんに本気で恋なんかするはずはない。 …でもあの時の翔也の瞳は、とても悲しくて刹那そうに私には見えた…。 …きっと蓮に対して不憫な恋愛をしてるおばさんが可哀想に思えたんだろう…。 そう自分に言い聞かせて我に返る。 あ!今日はスナックのバイトの日だ。 丸一日、はしゃぎ過ぎた30歳の体には、過酷すぎる夜のバイト…。 …行きたくないな…。 私は体調不良と嘘をついてスナックのバイトを休んだ。
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