失った心

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「じゃ神崎さんには、経理課で勤務してもらいますから」 人事課の吉岡さんに連れられて、経理課のドアを開けた。 3人の女性と1人の男性がデスクを向い合せにしてひたすらキーボードをパチパチと叩いている。 「今日から派遣された神崎さんです」 吉岡さんの言葉で一斉に4人が顔をこちらに向けた。 「じゃあ、仕事の内容はこの相川課長に教えてもらって下さい」 吉岡さんが指さしたのは、30代後半らしき女性だった。 女性なのに課長とは素晴らしい…と私は少し驚いた。 「…神崎です。よろしくお願いします」 私が頭を下げると、その女性も立ち上がってペコリと頭を下げ 「相川です。よろしくお願いします」 そう言ってニコニコっと笑った。 「じゃみんな自己紹介よろしく!」 相川課長の号令で、20代後半と思われる男性が立ち上がって 「斉藤です。よろしく!」 と元気な声で挨拶すると ふわふわに髪を巻いた可愛らしい20代前半の女の子が 「茂木ですぅーよろしくお願いしまぁす」 と少し猫なで声で挨拶する。 それをかなり不機嫌そうに見ていた私と同じくらいの年齢の女性が 「栗原です。私も派遣だから」 ニコリと笑って言った。 「じゃ神崎さんは栗原さんの隣のデスク使って下さい」 「はい解りました」 相川課長に言われて私は栗原さんの隣に座る。 「解らない事あったらいつでも聞いてね」 クシャっと笑う栗原さんの笑顔に、少し緊張が緩んだ気がした。
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