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日曜日のホームセンターは、家族連れの買い物客がせわしく出入りしていて、ひたすらレジを打ち続ける。
レジに並ぶ、幸せそうに大きなお腹を抱えた奥さんと、大切に奥さんの手を引く旦那さんの姿を見ると、少しだけチクリと胸が痛む。
私にはあり得ない人生。
蓮の子供なんて一生産む事は出来ない関係。
「明日から来るバイトの男の子、すっごい可愛いかったわよ」
お昼休みの休憩室、中谷さんがお弁当をつつきながら、ニコニコと話す。
「そうなんですか」
「さっき、事務所に来てたんだけどね、うちの息子もあれくらい美形に産まれてくれたらもっとモテたんだろうに…」
残念そうに呟く中谷さんの顔を見て、中谷さんの息子の残念さになんとなく納得する。
どんな美形だろうと、所詮高校生の子供。
ただ私はめんどくさくて憂鬱を感じていた。
翌朝、出勤すると石田さんがニコニコしながら
「休憩室にバイトの子、来てるからよろしく」
と言って来た。
「…あ、はい解りました」
頷いて私は休憩室に向かう。
めんどくさ…
そう思いながら、休憩室のドアを開けると椅子に腰かけた男の子がクルリと私を振り返った。
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