記憶

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…何で笑うの?? ポカンとする私に翔也はさんざん笑ってから言った。 「いやさ、茜は変わってないなぁと思って…ごめん笑い過ぎた」 そう言いつつもまだ笑っている翔也に、なんだか私もおかしくなって笑った。 「悠木くん…今更だけど、あの時はずっと無視したりしてごめんね」 2年かかってやっと翔也に謝る事が出来た…。 「あの時、なんで俺を頑なに無視した訳?」 「あれはね…」 私は、蓮と私の間に起きた出来事を、こんなにも冷静に話せるようになるまで整理出来てる自分に少し驚きながらも翔也に全てを話した。 「…そっか。茜、すごい頑張ったじゃん」 「…うん。」 「で、この会社で社員目指すつもりなんだ?」 「…今悩んでる…」 「なんで?」 …だって、こんなドSな副社長のいる会社だもん… そう思いながら翔也を見上げると、またあの意地悪そうな目で私を見て笑ってる。 「ま、結構派遣から社員なった人多いから、頑張ってみたら? 俺、大学行ってるからここに来れるのはだいたい夕方か夜だから」 …そうか… まだ翔也は大学生なんだ… やっぱまだ若いなぁ… 「ま、時々茜の様子見に来るよ。 あ、そうだ、昨日の開発部の計算書見せて欲しいんだけど」 「あ、ちょうど今やってたの、あと3枚で集計出来るからちょっと待ってね」 私は慌てて残りの3枚を入力して集計した。 集計データと計算書の書類を見比べて、顎に手を当てて考えてる横顔を見てると、学生と副社長の2足のわらじを履いてる翔也も、すごく頑張ってるんだなと感心した。 ペラリと計算書をめくる、翔也の綺麗な指先を見つめていたらやっぱり私の胸がドクンと鳴った。 「…甘噛みして」 そう言われて、観覧車の中で噛んだ指先の感触が私の中に蘇る。 急にドキドキしながら、翔也をじっと見つめてると、ふいに翔也が私を見つめた。 …やばい… 心臓が張り裂けそうだ…。 「何?」 「…いや…なんも…」 「今、何考えてた?」 「…いえ…なにも…」 「またおしおきされたいの?」 「…………」 うるうると今にも泣きそうな目で翔也に訴える。 …お許し下さい王子様… …またおばさんは、あなたにときめいてしまったみたいです…  
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