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その時、経理課のドアがガチャガチャと音を立てた。
「…茜?」
…翔也!
…助けてっ!!
私は必死に斉藤くんに抵抗して足をバタバタさせて、椅子を蹴った。
カシャン!
その物音に気付いた翔也が声を上げる。
「茜!どうした?ドア開けて!」
ガチャガチャと回すドアノブを見つめて、茂木さんの表情が固くこわばって行く。
「茜!!返事して!!」
翔也は体をドアに打ちつけて、一気にドアを破って駆け込んで来た…。
「…何を…してるんだお前ら…」
私にまたがっている斉藤くんを翔也はそのまま殴りつけて、私を抱きしめた。
「茜!大丈夫か?!」
腕に巻き付けられたネクタイを外してくれる翔也を見つめながら、私は溢れ出す涙をポロポロとこぼし翔也にしがみついた。
「…神崎さんがいけないのよ…」
呆然とそれを見ていた茂木さんがポツリと言った。
「…は?どういう事だよ!」
怒りに震える翔也が茂木さんに言うと、茂木さんはふるふると震えながら言った。
「おばさんのくせに…翔也さんに懐いたりするから…」
「…お前…最低な女だな…
…お前もだ!斉藤!
いい年してこんな女にたぶらかされて何やってるんだよ!」
翔也に殴られてすっかり小さくなってた斉藤くんが土下座しながら
「すいません…すいません…」
と謝っていた…。
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