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振り向いた男の子の栗色の瞳がじっと私を見つめる。
それがあまりにも眩しくて、私は目を細める。
なんて綺麗な目…
どことなく蓮に似た、冷めたような切れ長の目、艶のあるサラサラの栗色の髪が妙に色っぽい。
少し見とれてしまった…。
ヤバイ、何見とれてるんだ私。
「あ、今日から担当する神崎です」
気を取り直してその男の子に挨拶すると、慌ててその男の子が立ち上がって
「悠木 翔也です、よろしくお願いします」
と頭を下げた。
立ち上がってみると、私より25センチくらい背が高いだろうか…
無駄のない筋肉が服の上からでもはっきり解る。
「…あ…じゃあとりあえずこっち来て」
あまりに真剣な目で見つめられて少しドキドキした私は、レジに翔也を案内した。
「えっと、悠木くんにはレジに入ってもらうので、まず説明しますね。
基本的には全部バーコードで読み取ってくれるので、ここに商品を通し終わってから、こっちの小計ボタンを押して…」
説明する私の隣で、真剣に私の指先を見つめる翔也。
どことなく香って来る、柔らかい香水の香りに、私の体がズキズキと疼く。
…何考えてるんだ私。
高校生にムラムラしてるなんて、どんなおばさんだ…
言い聞かせて再び説明を始める。
「それで、お客様から預かったお金をキャッシャーに入れると、あ、お札はこっち、小銭はここにまとめて入れて下さいね。
あとは、この合計ボタンを押せば、ここからお釣りが出てきます。
レシートと一緒に、お客様に渡してレジは終わりだけど、あとは商品の梱包ね」
機械的に説明する私の言葉を、ひとつひとつ真剣に聞き入る翔也の瞳がなぜか私の胸をドキドキさせっぱなしだ。
「…梱包は、基本的には袋だけど、袋に詰める時は重たいものを下に、軽いものを上に、
大型のものの時は、このテープとビニールひもを使って…」
当たり前の事だけど、ひとつひとつ丁寧に教える。
「まぁあとは、実際にお客様が来てから、少しずつ覚えて下さい」
「はい、解りました、ありがとうございます」
ペコンと頭を下げる翔也が、なんだかすごく私の心をくすぐった。
…素直そうで、可愛いな…
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