夜布庵那は飽き飽きしていた。

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――柔らかい。 女の子の唇とは、体とは。 こんなにも柔らかくて、気持ちの良いものだったのか。 庵那も彼女も頭が真っ白になり、体中に電流が駆け巡った。 体の底から熱くなるようで、力が沸いて来るようで。 お互いに、今までの人生でも感じたことのない感覚。そう、これを言葉なんかで現せと言うにはあまりにも大きすぎる。 ……二人は唇を重ね合わせたまま、時が止まったかのように錯覚していた。 一時間も二時間も経過したような、けれど実際には一分すら経っていない。 自分の置かれた状況を整理し、理解すると、彼女は慌てて口を放した。 露になった胸を必死に手で隠し、顔を真っ赤にしながら恥じらう美少女。そのシチュエーションに庵那は人生最大の萌えを実感していた。 暫くそのまま見つめ合っていた二人だが、やがて彼女は先程のような激しいものではないが頬を発火させ、立ち上がると小走りで部屋を出ていってしまった。 「あっ……待ってくれ!」 庵那は慌ててその後ろ姿を追う。 同時に裸の美少女を追い掛ける自分の姿を想像して、これ完全に変態だよなとか思っていた。
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