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さて、普段と庵那の行動が違ったのはこれだけではない。
いつもならばどれだけ良作漫画を読んでも、どれだけ良作ゲームをプレイしても、どれだけ良作アニメを視聴しても、必ずその後に「所詮はフィクションだしな」と一蹴し、庵那の感じた衝撃などは夢として脆く崩れ去る。
だが庵那はFlame Storyのある登場人物のある台詞が、これまでに無い程深く強烈に胸を打たれていた。
「自分から行動を起こさない奴に、退屈な現状は抜け出せない……か」
眠気や疲労で冷静な判断力や思考を奪われた所為なのか、はたまたその台詞に自身を重ね合わせたのか、それともその両方なのか。
何にせよ、庵那がその気になったのは事実だ。
……そうして庵那は思い立ったのだ。
「美少女を召喚しよう。失敗したら死ぬ」
何故その結論に至ったか、それは当の本人が深夜特有の精神状態だということも要因の一つだろう。
とにもかくにも経緯はどうあれ、庵那はFlame Storyに感銘を受け、今まで無理だの面白くないだのと理由をつけては何も行動しなかった自分と別れを告げる時だと踏ん切りをつけたのだ。
このチャンスを逃せば次はない……この気持ちが覚める前に、庵那は一歩を踏み出した。
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