夜布庵那は飽き飽きしていた。

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無論、庵那は現実と幻想を混同するような電波人間でも妄想人間でもない。 本気で美少女を召喚しようなどとは微塵も思っていないのだ。 では何故そんなことを言い出したか? 答えはずばり簡単だ。庵那は死ぬきっかけが欲しかっただけ。 庵那は昔読んだ漫画の内容を思い出していた。その漫画は主人公が可愛いヒロインに召喚され異世界へと来訪し、そこでヒロイン含め様々な仲間達と出会い切磋琢磨しつつ巨悪に立ち向かうと言うものだ。 成る程漫画らしいストーリーだ。主人公は本当に何の前触れもなく知らない世界に召喚されてしまうのだから。 現実にこんなことが有り得るか?答えは否だ。 これは作られた物語の主人公だからこそ、何の前兆もなく別世界に喚び出されたというだけの話。 だが現実ってのは都合のいいものではない。自ら行動せねば何も起こらない。 従って庵那は逆転の発想、自らが召喚する側を選択した。 そしてそれは、Flame Storyの台詞に大いに影響を受けての決断である。
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